不動産鑑定士とは?
不動産鑑定士とは
1963(昭和38年)年、土地等不動産の適正な価格の形成に資することを目的とし、「不動産の鑑定評価に関する法律」が公布され、不動産の鑑定評価制度及び不動産鑑定士資格が誕生しました。不動産鑑定士は国家資格とされ、不動産鑑定評価を業として営む場合、国土交通大臣又は知事の登録を受け、その事務所毎に専任の不動産鑑定士1人以上置くこと等を義務づけられています。
不動産鑑定士は地域の環境や諸条件を考慮して「不動産の有効利用」を判定し、「適正な地価」を判断します。
つまり、不動産鑑定士は、不動産の価格についてだけでなく、不動産の適正な利用についての専門家でもあります。現在、不動産鑑定士はさまざまな分野で活躍しています。国や都道府県が土地の適正な価格をー般に公表するための、地価公示制度や地価調査の制度をはじめとして、公共用地の買収評価、相続税路線価評価、固定資産税評価、裁判上の評価、会社の合併時の資産評価ならびに現物出資の評価、さらには、不動産に関するカウンセリング等、広く公共団体や民間の求めに応じて不動産鑑定士が業務を行っています。
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不動産鑑定士の仕事
コンサルティング業務
不動産のエキスパートとして広く個人や企業を対象に、不動産の最も有効な活用方法や相続税のアドバイス、土地の開発計画のカウンセリングなども行っています。
鑑定評価について
不動産の鑑定評価とは土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利の経済価値を判定し、その結果を価額に表示する行為をいいます。
不動産鑑定評価に関する法律には「他人の求めに応じ報酬を得て、不動産の鑑定評価を業として行うこと」を不動産鑑定業として定義し、規制しています。従って不動産業者が取引の中で価格査定を行うことはありますがこの査定に関して報酬をもらわない限りは不動産鑑定業とはなりません。
逆にいえば不動産鑑定士だけが業として不動産鑑定評価を行えることになっています。
不動産は一般の財と違って新たに生産することができない、移動することができない等の特性があります。
また取引は個別的に行われるため、市場が狭小で、情報が不完全です。このような特性の故に不動産の価格は誰にでも容易に認識されるかたちで存在しません。
そこでわかりにくい不動産の価値を専門家の目で判定する必要があります。ここに不動産鑑定評価の意義があります。
不動産鑑定評価の不動産の鑑定評価とは合理的な市場があったならばそこで形成さ れるであろう正常な市場価値を表示する価格を鑑定士等が的確に把握することを中心とする作業である。具体的には次の手順を合理的な判断のもとに秩序だてて誠実に行うことである。
- 鑑定評価の基本的事項の確定
- 処理計画の策定
- 対象不動産の確認
- 資料の収集及び整理
- 資料の検討及び価格形成要因の分析
- 鑑定評価方式の適用
- 試算価格または試算賃料の調整
- 鑑定評価額の決定
- 鑑定評価報告書の作成
地価調査について
都道府県地価調査は国土利用計画法における土地取引規制における価格審査の参考にするため毎年7月1日時点における基準地の正常な価格を公表する制度で、地価公示を補完する役割も担っています。各基準地の価格は不動産鑑定士等による鑑定評価によって調査されています。
地価公示について
地価公示は地価公示法に基づき毎年1月1日時点における標準地の価格を公表する制度で、各標準地について2人以上の不動産鑑定士等によって行われた鑑定評価を基礎としています。地価公示の公示方法は官報に、価格のほか標準地の所在地、地番、地積、形状、標準地及びその周辺の土地の利用の現況、標準地の前面道路の状況等を記載されます。
不動産鑑定評価書について
不動産鑑定評価書はたとえばこんなときに役立ちます。
不動産を賃貸借したい
貸ビルやマンションなど、誰もが納得のいく適正な賃料を算出します。 賃料のほか地代、契約更新料、名義書換料なども鑑定評価の対象です。
不動産を担保にしたい
手持ちの不動産を担保に事業資金を借りるとき、不動産鑑定評価書があれば借入可能金額の予想がつきます。 逆に不動産を担保に取る場合は、評価額が明らかなことが絶対条件です。
相続対策のために評価額を知っておきたい不動産を売買・(等価)交換するので適正な価格を知りたい
「いい値がつけば手放したい」と思っているとき、不動産鑑定評価額を知っておく必要があります。 また、不動産を買うときや等価交換するときも、鑑定評価をしておけば、安心して取引が進められます。
共同ビルの建築にあたり権利調整をしておきたい
再開発や共同ビル建築の場合はとくに権利関係が複雑です。のちのちの無用なトラブルを防ぐためにも、客観的な公平な鑑定評価をもとに、権利を調整しましょう。
課税上の不服申し立てをしたい
課税上の不服があるとき、あるいは裁判など争いごとがあるとき、鑑定評価を受けていると有利な場合が多くあります。